イントロダクション

    史上初の快挙となる〈直木賞〉(第156回)と〈本屋大賞〉(2017年)のW受賞を果たし、現代を代表する作家の一人、恩田陸の新たな代表作となった「蜜蜂と遠雷」。 国際ピアノコンクールを舞台に、亜夜、明石、マサル、塵という世界を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦、才能、運命、そして成長を描いた本作は、累計発行部数134万部を超え、いまだ読者を増やし続けている。文字から音が聴こえてくるとまで言われる圧倒的な音楽描写を伴うこの物語は、恩田曰く、「そもそも、この小説は絶対に小説でなければできないことをやろうと決心して書き始めたもの」であり、「映画化の話があった時は、なんという無謀な人たちだろうとほとんど内心あきれていた」ほど。 そんな映像化不可能と思われた原作の映画化に挑むのは、2017年『愚行録』で長編監督デビューを果たし、新藤兼人賞銀賞を受賞、今もっとも注目される新鋭・石川慶。そして、注目のキャスト陣は今を彩る豪華な“競演”が実現。 亜夜役として、近年精力的に映画出演を果たし、第42回日本アカデミー賞において、『勝手にふるえてろ』で優秀主演女優賞、『万引き家族』で優秀助演女優賞を受賞するなど、今最も輝く女優の一人となった松岡茉優が主演を務める。明石役には映画、ドラマ、舞台で幅広い役に挑戦し、2018年に公開された『孤狼の血』では第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞するほか、多数の映画賞で受賞するなど目覚ましい活躍を続ける松坂桃李。マサル役にはスティーヴン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』に出演し、スピルバーグ本人からその演技力を絶賛された期待の若手・森崎ウィン。そして謎の少年・塵を演じるのは、新人ながら100人を超えるオーディションで「塵そのものだ」と監督を唸らせた新星・鈴鹿央士が大抜擢された。さらに、白熱のピアノコンクールを彩る様々な楽曲を実際に奏でるピアニストにも超一流の面々を起用。河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央という世界で活躍する日本最高峰のピアニストたちが集結し、亜夜、明石、マサル、塵、それぞれのキャラクターに沿った演奏を披露している。そして、物語のキーとなるオリジナル楽曲「春と修羅」を作曲するのは、日本を代表する作曲家であり、ロンドンを拠点に国際舞台で活躍している藤倉大。彼の手により生み出された「春と修羅」によって、4人の運命が動いていくことになる。

    ストーリー

    3年に一度開催され、若手ピアニストの登竜門として注目される芳ヶ江国際ピアノコンクール。
    かつて天才少女と言われ、その将来を嘱望されるも、7年前、母親の死をきっかけに表舞台から消えていた栄伝亜夜は、再起をかけ、自分の音を探しに、コンクールに挑む。
    そしてそこで、3人のコンテスタントと出会う。岩手の楽器店で働くかたわら、夢を諦めず、“生活者の音楽”を掲げ、年齢制限ギリギリで最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石。幼少の頃、亜夜と共にピアノを学び、いまは名門ジュリアード音楽院に在学し、人気実力を兼ね備えた優勝大本命のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール。
    そして、今は亡き“ピアノの神様”の推薦状を持ち、突如として現れた謎の少年、風間塵。国際コンクールの熾烈な戦いを通し、ライバルたちと互いに刺激し合う中で、亜夜は、かつての自分の音楽と向き合うことになる。果たして亜夜は、まだ音楽の神様に愛されているのか。そして、最後に勝つのは誰か?